ARGOの「プラトレ」

通る企画書を作るために。プランニングのトレーニング

キカクのキ

企画を立てる人のことをプランナーと呼ぶ。私の名刺にも「プランナー」と言う肩書を書いているのだが、自分の名刺を使うよりことより、一緒に仕事をしていた広告代理店の名刺を使うことの方が多かった。(今は社員でもない人間に自社の名刺を持たせるようなことはしないと思うが)

その時の肩書はプランニングディレクターだった。確か、プランナーだとゴロが悪い等という他愛のない理由だったと思う。今でもプランナーと言うとファイナンシャルプランナーとかウェディングプランナーと間違えられることがある。広告の企画を立てる人、企画書を書く人と言うのは、花の東京には残っているかもしれないが、ローカル都市では大手代理店の支社にひとりふたりいるくらいでほぼ絶滅してしまった。

企画書は、広告代理店でさえ営業やコピーライターが書くようになっているようだから、フリーのプランナーに外注に出すような酔狂な会社はほとんどない。リーマンショック以降、一気に内製化が進んだようだ。

企画書と言うのは、デザイナーと違って特別な才能とか技術が要らないので、文字さえ書ければ誰にでも作れる。管理しやすいようにWordやExcelで作れと指示している会社もあるそうだ。私も何回かそういった企画書もどきを見たことがあるのだが、社内でコンセンサスがとれている企画の場合はそれで十分だろう。

ただ、上司を説得したり他社に提出するような場合は、そんな素人が書いた企画書は全く通用しない。映画好きの学生が趣味で作った自主作品と何ら変わらないような、読む気にもなれないケースが極めて多い。

企画書に必要なのは、伝えることより伝わること。
 

これをやれば面白いでしょ、きっと成功しますよ、などと企画書を書いた本人の思いがいっぱい詰まっていても、相手に伝わらなければただのゴミ。わかってくれないと嘆く前に、わかってもらえるようにするにはどうすれば良いのかと言うことに頭を使うべきだろう。

気持ちは伝わると言う歌があったが、伝えようと工夫しないと伝わらない。広告とか商品開発とか、多額のお金がかかるものを「何となく良さそうだな」で決める人がいるだろうか?よほど自分の感性に自信を持っているオーナー経営者なら「やってみなはれ」と言ってくれるかも知れないが、納得していない企画にゴーサインを出す人がいるような会社の方が怖い。

内容さえが良ければ企画は通ると思うのは、良い商品を作れば売れるという前近代的な思い込みでしかない。企画書を作るときに忘れてはいけないことは、企画内容の吟味はもちろんのこと、そのメリットが十分に伝わるように工夫しているかどうかだ。
 
キカクのキは気持ちのキ。
 

企画書はラブレターと同じで、好きだ好きだと書き連ねるだけでは相手に気持ちは伝わらない。どのようなシチュエーションでどんな言葉を使えば自分の気持ちが伝わるか、伝えられるか。

そこに頭を使って欲しい。