ARGOの「プラトレ」

通る企画書を作るために。プランニングのトレーニング

企画書の基本構成

すべての企画書は、大まかに分けて、①企画意図、②企画内容、③予算&スケジュールという3つの要素から成り立っている。

 
③の予算&スケジュールは、営業など他部署との調整が必要になってくるので、企画書を作る時に自分の頭だけで作れるものは企画意図と企画内容の2つになる。
 
企画意図と言うのは、何のためにこの企画を作ったのかを理解してもらうための理由付けだ。一般的には、市場環境や現状の把握とか課題の抽出などから入ることが多い。統計データやアンケート結果と言った客観的な数字を用いて説明していくこともある。このような状況の中でこういった課題が見つかったので、課題を改善して企画を成功に導くために、こんな方向でプランを考えて行きます、と続ける。
 
課題を共有できている場合は簡単に済ませても良い部分だが、往々にして企画書を見る立場の人が知らなかったり勘違いしているケースが多い。広告代理店が生きて行けるのは、その業界のプロだからではない。商品やサービスのことは、それを扱っている会社の方が当然よく知っている。その道のプロを相手に同じ土俵で勝負しても勝てる訳がないのだ。だから広告代理店が企画提案する時には、クライアントの立場ではなく、その会社の商品やサービスを購入するお客様=カスタマーの視点から課題を見つけて行く。社内で企画書を作る時にも、絶対に忘れてはいけないのがカスタマーとしての視点だ。
 
業界や社内では当たり前のことに見えても、お客様には全く伝わっていないことが多い。お店の人が良かれと思ってやっていることが、客にとってはありがた迷惑と言うことも多々ある。そう言った業界のプロが気が付いていないところを「消費者目線」で見直して行くために、様々な統計や調査などを駆使して課題を抽出して行く。企画書を見る人に「へぇ~」と言ってもらえれば、企画書の導入部は成功だ。
 

「へぇ~」の次は「ほぉ~」。

 

続いて企画内容に入って行くのだが、ここでは相手を説得するのではなく、納得してもらうことがポイントになる。プランナーとして必ず言われることが「今まで見たことが無いような新しい企画を低予算で作ってくれる?」...残念ながら、どこもやっていないような全く新しい企画など無い。ただ、色々な企画を組み合わせることで新しい切り口を見つけることは出来る。抽選会を提案するときに、普通の三角くじではなくサイコロを使ったり、企画意図に最適な抽選方法を提案することは可能だ。意図を明確にしてこれしかないと思ってもらえれば、使い古されたように見える手法も新たな命を持ってくる。何でもいいんだけどどれにします?と薦められても買う気にはならなくても、お客様のご意向を考えると○○という理由でこれしかないですよ、と言われた方が良いに決まっている。ここでも相手の立場にたって考えるということが重要になってくる。
 
企画書を書く立場の人間から見ると「ほぉ、その手があったか」と言われたら飛び上がりたいほど嬉しくなるが、実はこれが最上級の反応ではない。目的は、企画書を誉められることではなくて企画を通すことだ。それを第一に考えると、一番確実に企画が通る相手の反応は、ほぉ~ではなく、そう!なのだ。

 
「そう!自分もそう思っていた。私が言いたかったのはこういうことなんだよ。」~相手にそう言ってもらえれば、手柄は相手のものになるかもしれないが企画は確実に通る。良い企画書を作ったねと誉められることよりも企画を通すことの方が、企画書を書いた人の評価も確実に高くなる。アイツは良い企画をたてる人間だと思われるより、アイツは自分の考えをよく理解してくれている、と思われた方が次に繋がることが多いからだ。
 
企画意図でへぇ~と思わせて、企画内容でそう!またはほぉ~と言わせる。そうなれば後は予算とスケジュールの問題だけだから話は早い。逆に、一番危険な反応が「ふ~ん」であることを忘れてはいけない。例え企画が通らなくても相手の心に何らかの痕跡を残しておけば次のチャンスは回ってくるが、どんなに頑張って企画書を作っても「ふ~ん」で終わってしまえば次はない。
 
企画意図と企画内容が、どれだけ相手に伝わったかで企画書の評価が決まる。