ARGOの「プラトレ」

通る企画書を作るために。プランニングのトレーニング

本屋さんの定点観測

世の中の変化や動きをつかむ手法のひとつに「定点観測」というものがある。場所を決めて、定期的に変化をチェックして行く手法だ。新聞や雑誌の記事を入念にチェックしておけば必要ないと言われれば返す言葉もないが、毎日記事とにらめっこをするよりも遥かに簡単で面白い。

 
私の場合は、定期的に行く本屋さんを決めて、少なくとも週1回は新刊本コーナーを見るようにしている。広島にも紀伊国屋書店とかジュンク堂といった大型書店があるが、私は地場の書店であるフタバ図書に通っている。当然のことながら新刊本コーナーは少しずつ変化している。最近流行っているのはピケティとアドラーで、その前はドラッガーが人気だった。本人の著書を読むことが出来なくても、概略くらいは調べるようにしている。今はインターネットがあるから簡単だ。
 
マーケティングの世界でも、次々に新しい言葉が生まれてくる。データマイニング、RFM分析、川上戦略・川下戦略、ビッグデータ、、、。ちょっとサボっていると知らない言葉がどんどん増えてくるから、常に情報感度をあげておかないと仕事にはならない。東京にいた頃は、看板やポスター、電車の吊り広告・イベントなど、何もしなくても情報の方からこちらに飛び込んできたが、地方都市で暮らしていると情報はこちらから探していかない限り入ってこない。
 
さすが東京もんは流行に敏感じゃねぇ
 
東京にいた頃、たまに広島に帰るとそう言われたが、東京に居ると黙っていても情報が飛び込んでくるから敏感になったように思われるだけだ。私が広島に帰ってきた四半世紀前は、東京の情報を入手するのに大変な努力が必要だった。広島では放送されていないCMや、ネット局がないテレビ東京でこんな番組が流行っていると聞くと東京の友達にVTRを送ってもらったり、日経テレコムなどの情報サービス会社にお金を払って最新ニュースを入手していた。東京でしか得られない情報もたくさんあったし、何より大都市ならではの空気感が情報感度を高めてくれるのだ。
 
ただ、最近はインターネットと物流の進歩によって情報格差は大幅に改善された。必要なものはネットで入手できるし、その気になれば東京に住んでいた頃と同じ情報をリアルタイムで触れることも出来る。ただし「その気になれば」という条件がつくが。
 
その気になって本屋さんの定点観測を続けていると、ビジネスで使われる新しい言葉の大半は新刊本コーナーに並んでいる。何が流行っているのか、世の中の動きがどうなっているのか、本屋さんに行くだけで目に飛び込んでくる。地方都市でこんな便利な場所は他にない。