ARGOの「プラトレ」

通る企画書を作るために。プランニングのトレーニング

CMを見たら企画書を想像する

街の中にあるものは全て誰かが考えて作ったものだ。中でもテレビCMは、制作費に加え電波料という多額の費用が必要になるため、ひとりの考えで作れるものではない。社内で企画を立てるにせよ広告代理店に依頼するにせよ、責任あるポジションにいる人にプレゼンしてOKをもらわなくてはCMは作れない。全国ネットで流しているCMなどは、電波料だけで数千万円から数億円の費用がかかる。だから「適当にやっといて」というCMなど1本も無い。

CMを見た時は、企画書を想像すれば良い勉強になる。

このCM企画を通すために、どんな企画書を作ったんだろうか?そう考えながらCMを見ると、流し見していた時とは全く違う一面が見えてくる。(ただし、あまりにも企画意図がハッキリわかるCMは、説明的すぎてあまり面白いものがないのも事実だけど)

15秒のCMでは多くのことは言えないので、ターゲットや訴求ポイントをかなり絞り込んでいる。家電品や日用品、食品などのCMは商品の特徴をしっかり訴求したものが多く、嗜好品のCMは商品やブランドイメージの構築に注力している。自動車に関しては、低価格の軽は特徴訴求、高級車はイメージ醸成というケースが多いが、ほとんどの手法をやり尽くしているので新しさを打ち出すのに苦労しているようだ。

例えばおやつカンパニーベビースタードデカイラーメンのCM。どデカさを強調するために関取の中でも特に大きな逸ノ城をキャスティングし、身体の小さな子供と共演させることで、逸ノ城の大きさを強調する。そして「どデカイような、どデカくないような」とあえてネガティブな言葉をブツブツと呟かせることで、明確に「デカイですよ」と言うよりも強烈なインパクトを与えることができる。

また、話題の力士である逸ノ城の初CMと言うことで話題性もあるので、CM放映だけでなく記者会見を開催し、メイキング映像を提供すればワイドショーなどでも取り上げてくれるだろうあのから、高い費用対効果も期待できる。ベビースターを食べるのは子供でも、買うのはお母さんやおばあちゃんが多いので、ワイドショーで取り上げられる意味は大きい。おそらく、そんな感じの企画書を作ったはずだ。

サントリーの缶コーヒーBOSSの宇宙人ジョーンズシリーズくらいになると、商品の認知や内容理解などよりも、絶え間ない話題の提供に重点を置いている。だからジョーンズ以外の共演者にも、マツコ・デラックスとかタモリと言った話題性のあるタレントを起用しましょうと言っているだろうし、逆にお茶飲料の後発である綾鷹は、お茶に関係のある専門家を100人集めて「急須で淹れたお茶と区別がつかない」という商品の特徴をアピールしましょうと言っているのだと思う