ARGOの「プラトレ」

通る企画書を作るために。プランニングのトレーニング

新しい靴

新しい靴を履くと、必ずと言って良いほど靴ズレが出来る。時にはかかとの皮がすれて血が滲むこともある。革靴だけでなく、サンダルでも、時にはスニーカーでさえ出来る。足の痛みは1週間くらい続くが、我慢して履き続けているとやがて靴が足に馴染んでくる。今までに2~3足ほど痛みに耐えかねて履くのを諦めたことがあるが、その靴はお蔵入りになってしまい、結局は手放すことになった。

今まで様々な仕事に関わってきたが、プランナーという仕事柄、色々な会社の人たちと組んで仕事をすることが多い。仕事のたびにスタッフもガラリと変わる。最初の1週間くらいは環境に慣れなくて思うように仕事が進まないが、その時はいつも新しい靴のことを思い出している。慣れるまでにはやはり時間がかかるのだ。

新しい習慣を身につける時も同じだ。禁煙を始めた時も一番苦しかったのは最初の1週間だったし、「ありがとう」という口グセを習慣づける時も慣れるまでが大変だった。心の中でつぶやくだけなのに何故か自分に照れてしまってしっくりこない。そういった慣れない時期を過ぎて、初めて習慣として身に付いてくる。

靴ズレの経験から、新しいことを始める時はいつも何らかの痛みが伴うものだと思っている。実際に新しい世界に入る時には、いつも恐怖と痛みが襲ってきた。それを乗り越えて初めて新しい世界の扉が開く。ただし周囲から見ると単なる靴ズレのように軽いものでしかない。また後になって自分の歩いてきた道を振り返ってみても、始める時の恐怖や痛みなど大したことではなかったことがわかる。

靴ズレを心配して、人生を諦めるバカはいない。

目先の痛みや恐怖に負けて新しい世界に飛び込むのをやめるのは、あまりにもったいない。靴ズレの痛みを我慢して履き続けて行けば、やがて靴の方が足にフィットしてくる。大きな河も最初は小さな泉であるように、人生というものも、クチグセや思いグセといった小さな習慣の積み重ねで決まってくる。ほんの小さな痛みを我慢することで、習慣を変え、人生そのものを変えて行くことが出来るのだ。