ARGOの「プラトレ」

通る企画書を作るために。プランニングのトレーニング

99%の魔力

洗剤とか入歯洗浄剤などのCMで「99%とか99.9%除菌」という表現を良く目にするが、99%と言う数字を聞いて、逆に「何匹のバイ菌が残るのだろうか」と考えてしまうのは私だけだろうか。

バイ菌というものは通常「億」単位で存在する。仮に1億匹のバイ菌がいたとして、その中で99%除菌しても1%の100万匹は残ることになる。『強力殺菌』と言われれば素直に信じてしまうのだが、数字を出すことが私にとっては逆効果になっている。

ただ、あれだけ多くの商品が数字を出して宣伝しているところを見ると、99%という数字はまだ効果があるのだろう。仮に「1万人にひとりの珍しい病気」と言われたとしても、1億2千万人の人口を持つ日本には12,000人以上の患者がいることになる。交通事故での死亡者数よりもはるかに多い。

99%という数字は「不思議な力」を持っている。

コンピュータなどに使われる部品で「10万年に1回しか故障しない部品」を使っているという話を聞いたことがあるが、その部品を10万個使っている場合,毎年1回は故障する可能性があると言うことだ。限りなくゼロや100%に近い数字を見せられて、単純にスゴイと感心しては駄目だ。

数字は『客観的』なものであるが、だからこそ数字によって大きな誤解を受ける人もたくさん出てくる。福島の原発事故でも「100%安全」なものはこの世に存在しないことが明白になった。どんなものでも事故が起きる可能性はゼロではない。自動車も飛行機も事故で死者を出すこともあるが、利便性が被害を上回っているから使われている。

原発の場合、事故を起こす可能性が限りなく低いとしても、被害による影響が大きすぎるという理由で反対だと言う人が多い。事故の可能性と利便性の比較は、多様な意見があることから一言では言えないが、自動車や飛行機は動かさなければ事故の可能性はゼロになるになるのに対して、原発は稼働していなくても燃料棒が入っている限り危険性は除去できない。

一部には再稼働してもしなくても危険性はさほど変わらないという声もある。どの数字を比較するかで評価は変わってくることから、何事も、数字に振り回されることなく冷静に判断する必要がある。客観的な数字が恣意的に使われていないか、感情的に解釈していないか、、、数字の怖さを理解しておかないと誤った判断を下すことになる。