ARGOの「プラトレ」

通る企画書を作るために。プランニングのトレーニング

捨てる勇気

企画書を作成している時に、面白いデータやアイデアに出くわすことがある。最初に考えていたことよりも面白そうな企画になりそうなら、迷うことなく最初から書き直すべきだ。企画書の途中から強引に新しい方向に持って行っても、逆にツジツマ会わせに時間をとられて「最初から書き直していた方が早かった」と言うことになる。

学生の頃に読んだ尊敬するシナリオライターの本に、9割がた完成している脚本でラストシーンが思ったものと違うと言う局面になった時、自分が気に入っているラストシーンを無理矢理入れる人はアマチュア。プロなら、どんなに気に入っていたラストシーンでもストーリーに合うように変えるか、どうしてもそのシーンを入れたいなら最初から書き直す、と言うことが書いてあった。実際に今まで企画書を書いてきて、何度もこうした決断に迫られたことがある。

商品を売るためにはどうしたら良いか。お客様に喜んで頂くためにはどうすれば良いか。あれこれ考えてAという方向性で企画書を書き始めたのに、途中でBというアイデアの方が最終目的に近いと思ったなら最初から書き直す。デザインなどクリエイティブが同時進行している場合も多いために企画変更でみんなに迷惑をかけることになるが、クライアントのことを第一に考えた案を提案すべきだと思ってそうしてきた。

逆のケースもある。結論は最初に検討した企画案の方が効果があると思われるのに、興味がそそられるデータや面白いキャッチコピーなどを思い浮かんだ時に、つい結論には関係のないページを作ってしまうことがある。映画で言うならサービスショットと言われるようなページだ。企画書にそんなページは必要ない。

余計な部分は削ぎ落とす。

優れた映画やドラマには余計なシーンや台詞は一切ない。こうした方が面白いと思い付いたアイデアでもストーリー0に関係ない部分はバッサリ切る。アメリカの人気テレビドラマを見ると、すべての場面や台詞が綿密に構成されていることに驚かされる。企画書も同じで、結論に結び付かないページはどんなに時間をかけて作ったとしても入れるべきではない。せっかく作ったのだからと言う自分の思いを優先するのはアマチュアがやること。相手に伝わる企画書を書きたいなら、自分の思いよりも企画内容が伝わるかどうかという一点だけを考える。買う時よりも捨てる時の方が勇気がいる~まるで断捨離のススメのような言葉だが、伝わる企画書を作るためには重要な意味を持つ。