ARGOの「プラトレ」

通る企画書を作るために。プランニングのトレーニング

時期を逸した桃太郎

昨年、小栗旬が演じる桃太郎が登場するペプシコーラのCMを見た時には、スケールの大きさや完成度の高さから、久しぶりの大型シリーズCMだと期待した。鬼に打ち勝つ力をつけるために宮本武蔵に弟子入りする桃太郎、育ての親である狼を鬼に殺され、自らを「イヌ」と呼んで復讐を誓う犬。さぁ、これからどんな壮大なストーリーが始まるのだろうか、と期待していた頃だった。

auが、桃太郎、金太郎、浦島太郎の3人を起用した極めて軽〜いCMを流し始めた。最初は、ペプシコーラの二番煎じだと思ったし、あまりのチープな作りに呆れたりもした。それがどうだ。次々と新作を打ち出し、今ではかぐや姫まで登場している。(桃から生まれた桃太郎と、竹から生まれたかぐや姫のこどもは、今度はどこから生まれるのだろう?とか、桃と竹から生まれたふたりが家族になったのは感慨深いとか、色んなことを考えてしまうが)

結局、ペプシコーラのCMは中断している。CMというのは、完成度や質の高さより、出稿量とスピード感から生まれる話題性の方が評価に結びつくのだ。出来ることならペプシの桃太郎シリーズの続きを見てみたいものだが、少なくともauの新生活キャンペーンが終わるまでは新作は出さないだろう。

auの桃太郎シリーズ、そして永年に渡って続いているソフトバンク白戸家シリーズに対し、ドコモのCMは別路線を歩んでいる。渡辺謙やワンダイレクションなど大物を起用することで格の違いを見せつけようとしているのだろうが、CMに限って「話題になっている」とは言い難い。ただ、CM好感度が売上に直結するとは言えないのも、商業芸術の面白いところではある。