ARGOの「プラトレ」

通る企画書を作るために。プランニングのトレーニング

企画書の5W1H

企画書であれCMであれ、こちらが伝えたい情報を確実に相手に伝わるように工夫する事が最も重要だ。「企画書は1枚にまとめろ」とか「最高のプレゼン」など、様々なノウハウ本があふれているが、全てにおいて「最高」と呼べる手法は残念ながら『ない』。その理由は、伝えるべきターゲットが異なるからだ。誰に対して何を伝えるかが明確になっていない企画書やプレゼン、CMなどは、どんなに内容が優れていても全く効果がない事がある。
ビジネスにおけるプレゼンでは、提案する相手が決定権を持っていないケースも発生する。プレゼンの場に出てきた担当者をスティーブジョブス並みのプレゼンテーションで感動させたとしても、キーワードしか書いていない企画書では決定権を持つ上司にうまく伝わらないことが多い。最初から決定権を持つ人が出席しない事がわかっていたなら、担当者が上司に説明しやすいような説明文を組み込んだ企画書を用意しておいた方が良い。逆に決定権を持つ人が出席する場合は、インパクト重視だ。ジョブスばりの身振り手振りを加えたプレゼンをするために、あえて企画書にはキーワードだけを記載してシンプルにまとめた方が効果がある。
企画書をこれから作ろうとする時は、通常のビジネスと同じように5W1Hが重要だ。

①いつ(When) 締切によって作成期間が決められるため、どこまで作り込むかを検討する。締切まで時間がない時にあえて分厚い資料を企画書の中に組み込んで、分量で相手を驚かせるやり方もある。

②どこで(Where) 先方は何人出席するのか、決定権を持つ人は出席するのかなどを確認する。提案する場所に余裕がある時には、担当の営業やプランナーだけでなく、上司やデザイナー、コピーライターなどプレゼンに直接関係ない人まで集めて「出席人数」でやる気をアピールする広告代理店も多いようだ。

③だれが(Who) 誰がプレゼンするのかを事前に決めておく。場合によっては担当営業の上司が挨拶した後、プランナーとデザイナー、コピーライター、営業が分担してプレゼンする事もある。プランナーひとりでも説明できるとしても、あえてデザインやコピーなどの専門家が直接話す事で説得力を増幅する事が可能だ。時にはCMに起用する予定のタレント本人を連れて来る代理店もある。他社これをやられたら、まず勝ち目はない。

④なにを(What) 当然、企画の根幹となる部分だ。相手の記憶に残りやすいよう、企画全体を一言で言い表せるようなキーワード(例えば販売個数倍増作戦とか)を作っておくのも効果的だ。「そういう手があったか」と思わせる事ができたら、半ばプレゼンは成功したと考えて良い。複数社による競合コンペになった場合にこそ「なるほど!」と思わせる目玉がポイントになってくる。

⑤なぜ(Why) 企画を依頼されたのだから書く必要はないと考える人もいるらしいが、先方の要望を再確認するためにも「なぜこの企画を立てたのか」と言う理由を明確にしておく必要がある。セールの売上を上げる企画を依頼された場合でも、客単価の引き上げを狙うのか購入頻度の増加を狙うのか、それとも客数アップを狙うのか、今回のセールでは何が一番重要なのかを明確にする事で相手が気づかないテーマが浮かび上がってくる事も多い。

⑥どのように(How) 通常は出席者全員に企画書を配ったりプロジェクターを使って説明して行く事が多いのだが、中にはプレゼンに参加した代理店の人間が歌ったり小芝居をしながらプレゼンして行く事もある。下手にこのような手法をとると反感を買う危険もあるので、こうした奇をてらうようなプレゼンは事前に先方の状況をしっかりと把握できている場合に限定した方が良い。