ARGOの「プラトレ」

通る企画書を作るために。プランニングのトレーニング

ネットネイティヴ

記憶媒体がまだカセットテープだった頃からパソコンに触って来た私にとっては、今のネット社会は、当時の予想をはるかに超えている。
平成になった後でも、近い将来(当然、私が死んだ後の未来)1人が1台ずつ電話を持つ日が来るかもしれない、そうなったら、怖そうなお父さんがいる家の娘さんでも、直接電話できるからカップルが増えるんじゃないか?などと酒の席で盛り上がったものだ。誰もが使える電波が限られている以上、1人1台は難しいと考えられていた。それが技術の進歩で電波の有効活用が可能になり、今のように個人によるネット活用が当たり前の事になった。まさに「夢のような社会」が到来したのだ。

以前、我が家の無線LANルーターを買い換えた時、大学生の息子がパソコンはネットに繋がらないと大騒ぎしていた。「ネットに繋がらないパソコンはただの箱だ!」と言う息子の言葉を聞いて、パソコン通信で電話代を気にしながら使っていた昔の事を思い出した。当時はネットに繋ぐために大変な労力を必要とした。送ったメールが届かない事もあったし、ネットから入手できる情報も極端に少なかった。そのためにパソコン通信の時代はマニアが集まる同好会のような雰囲気があったが、インターネットが爆発的に普及し始めてそこは無法地帯になった(その頃の名残りが2チャンネルだ)。ネット上に溢れる情報は玉石混合(と言うより嘘の方が多い)で、ネットでのやり取りは人混みの中で話をするのと同じように周りの人に筒抜けだった。今でこそある程度はある程度の秩序が生まれてきたが、ネット環境があることが当然のように育ってきた『ネットネイティブ世代』は、その過程を知らない。だから平気でWikipediaの情報を信じてしまうし、重要な話でもSNSやメールでで済ませている。本当にその情報は正確なのか、送ったメールはちゃんと相手に伝わっているのか〜昔を知っている私から見ると危なっかしくてハラハラしてしまう。

こんな事を言うと「電気さえない江戸時代の人間か!」と突っ込まれそうだが、パソコンやネットが無ければ企画書1本作れないような大人にはなって欲しくない。企画書は、足を使って情報を集め、頭を捻って考えて行けば、後は紙と鉛筆があれば作ることができる。ネットやパソコンが企画を作ってくれるのではなく、あくまでも自分の頭で考えて作るものだ。最悪の事態を想定しておけば、停電しようがパソコンがフリーズしようが慌てることなく対処する覚悟ができる。

ネットネイティブとネット依存症は紙一重である事を覚えておいて欲しい。