ARGOの「プラトレ」

通る企画書を作るために。プランニングのトレーニング

ブラックボックス

今の社会は、コンピュータやネットワークを使ったシステムが必要不可欠になっている。コンビニはもちろん、小さな店でも使っているレジはネットワークにつながれてビッグデータの一部になっているかもしれないし、肌身離さず持ち歩いているスマートフォンはいつの間にか最先端のネットワーク端末に入れ替わっている。話題のAIスピーカーは、見方を変えれば常時ネットに繋がっている盗聴器だ。

かなり前からアッチのムー的世界が好きな人たちの間では「人類はやがて身体の中にチップが埋め込まれる」と言われていたが、わざわざチップを埋め込まなくても、自ら進んでGPS機能付きのネットワーク端末を持ち歩き、自宅に盗聴器を常時置くようになっている。

AIの進化は、私たちの暮らしを便利にする以上に管理機能の強化に結び付いて行く。自分が知らない間に自分の好みが勝手に分析され、欲しいと思っている商品の広告がスマホに掲示される時代なのだから、気がつかない間に自分の情報が何に使われているかわからない。

プランナーの仕事のひとつに、次はこんな商品やサービスが売れると予測し提案することがある。その場合、今のところはクライアントを説得するための理由付けが必要で、そのためには自分自身が納得できるだけの材料を用意している。「コンピュータが次はこれが売れると弾き出しているんですよ」では、クライアントも説得できないし自分も納得できない。

だが、これからは「AIが判断している」と言う理由で色々な物事が進んで行くような気がする。AIと言う言葉には途中のプロセスを吹き飛ばすだけのパワーがあるのだ。そこに大きな落とし穴がありそうでちょっと怖い。ブラックボックスの中には何が入っているのかわからないのに、それを信じている〜信じるしかない世界がそこまで着ている。そんな時代が来たらプランナーと言う職業は無くなっており、AIが出した答えを分析するアナリストか活用法を提案できるエンジニアへと肩書きが変わっているだろう。