ARGOの「プラトレ」

通る企画書を作るために。プランニングのトレーニング

ゼロからイチは作れない

新しい発想とかアイデアと言うと、多くの人が「今まで誰も見たことがない」ような斬新なものを求める事が多い。発注側がそういうことが望むのはある意味仕方がない事かもしれないが、プランナーが「ゼロから何かを生み出そう」と頑張ろうとすることがあるから少し注意が必要だ。ゼロからイチを生み出す事ができれば素晴らしい事だし、それに取り込む姿勢も決して責められる事ではない。ただ、そのほとんどは「徒労」に終わるだろう。
世の中に溢れる様々なアイデアの大半は、既にあるアイデアを組み合わせたものだ。全く関係がないように思える複数のアイデアが組み合わさる事によって、時にはとんでもなく新しいものが生まれてくる。組み合わせの例として、赤鉛筆と青鉛筆をくっつけた2色鉛筆や消しゴム付き鉛筆などがよく紹介されているが、油を使わないノンフライヤーとか羽のない扇風機など視点を変えた事で生まれるアイデアもある。(どちらも海外メーカーの家電だったのが少し悲しい。日本のメーカーは、ハイビジョンや4Kテレビ、ウォークマンなど小型化や性能アップは得意だが、視点を変えるのは苦手なようだ)
ゼロから何かを生み出すようなアイデアを生み出すのは、ノーベル賞級の発明と同じくらい難しい。そう割り切るだけで肩に入ったチカラが少し軽くなる。
何百億円かかるプロジェクトも予算数十万円のキャンペーン企画も、プランナーが今まで積み上げ考えてきたものを組み合わせて作られた。その為にはどれだけ幅広い知識を持っているかが重要になる。世の中で話題になっているものにはとにかく首を突っ込んでみる。浅くて良いから、普段から網を広げておく事で面白いアイデアが生まれてくる。
プランナーはノーベル賞を狙う発明家とは違う。全打席ホームランを打つ必要はないが、フォアボールでもデットボールでも良いから必ず塁に出なければいけない。プロのプランナーは、打率はともかく出塁率だけは10割を目指す必要があるのだ。消費者目線で頭を使って行けば、必ず良いアイデアが生まれてくる。世の中のプランナーは、そうして毎日脳みそに汗をかき続けている。