ARGOの「プラトレ」

通る企画書を作るために。プランニングのトレーニング

「AI」ではお店を救えない

AIと言うブラックボックスが世の中を変えようとしている。ただし「AIがそう指示しているので」と言うだけで販促会議を切り抜けられる日が来るとは思えない。責任者や担当者が理解できないままデータが出した答えに従うのは大きな間違いだ。

ひと頃「データマイニング」と言う言葉が流行った。「この商品を買った人はこう言うものも見ています」などとAmazonのサイトに自動表示されるような商品をお店やDMで提案できる、と一部の部署でデータマイニングを賞賛する声が上がった。ネットのように膨大な商品を大量の閲覧者に対して紹介する、いわば「下手な鉄砲、数打ちゃ当たる」的なケースでもモトが取れるなら良いが、限られたスペースで限られた来店客に提案するにはあまりにも無鉄砲な販促手法だ、と現場を知っている人間は相手にしなかった。

やがて「ビッグデータ」と言う言葉が流行った時も、販促部門の中では同じ経過を辿っていった。もちろん、データを軽視している人など一人もいない。販促や営業活動はデータが全てだと言っても良いくらい、みんな数字を重視している。要は、データが導き出した「意味」と「効果」を、言葉で説明し、それが理解できて初めて人は動くのだ。

データマイニングビッグデータと言う言葉が流行っていた時代も、一番有効な分析手法はRFM分析だった。直近で来店されたのはいつか(Recency;リセンシー)、どのくらいの頻度で利用して頂いているか(Freqency;フリークエンシー)、いくら位ご購入頂いているのか(Monetary;マネタリー)。この3つの要素を用いてお客様をランク分けして行くと、2〜3割のお客様が売上の7〜8割を占めていることがわかる。また、同じように2〜3割の商品で売上の7〜8割を占めていることが多い。このRFM分析に商圏分析を組み合わせれば、ある程度の売上予測は可能になり、会議でも説得力のあるデータとして使われる。店長や店員もデータの意味を理解しているので、自信を持って販促や接客できる。これが重要なポイントだと考えている。

AIがどんなに発達しても、途中経過が理解できないまま導き出されたデータは使えない。だが、誰もがAIのデータを信頼して使うようになり、売上と言う結果が付いてくるようになれば、マーケティングと言う仕事そのものが無くなるのだろう。