プランナーの寿命
エンブレムの盗作騒ぎ
2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックのエンブレムが、盗作だとかオリジナルだとか騒がれている。爆笑問題の太田光氏が「みんなあら探しに必死過ぎ」と言っていたが、ネットユーザーが寄ってたかって似ているものを探したらいくらでも出てくるだろう。
私個人としては、五輪のエンブレムに関してはオリジナルだと考えている。ベルギーの博物館のロゴに似ていなくもないが、商標登録もしていないし、オリンピックと間違えてベルギーに行く人はいない。デザイナー本人によるクリエイティブの発想の違いに関する説明にも納得できた。IOCもJOCも問題ナシと言っているのだから、普通ならこれで片が付いたのではないだろうか。
記者会見をした直後に、彼の名前で世に出したトートバックがパクリだったとこが明らかになった。事務所のデザイナーが勝手にやったことだという釈明も、アラ探しに拍車をかけたようだ。
ここまで問題が大きくなるというのは、あのエンブレム自体に共感が得られていないのではないか、という疑問も浮かんでくる。今までにも山のようにたくさんのエンブレムやロゴマークを見てきたが、最初はピンとこなくても、いつの間にか慣れてきたものが多かった。それが何故か、今回のエンブレムには慣れてこない。個人的な印象だと思うが、ここまで騒動が続いているということをみると、私と同じような違和感を感じている人が意外と多いのではないだろうか。
タレントパワー
広瀬すずが出演している目薬「マイティア」のコマーシャル。
単純に、彼女がコマーシャルソングをアカペラで歌っているだけのCMなのだが、その歌い声がなんとも言えず可愛くて思わず聞き入ってしまう。
♩ソフトでもハードでも、コンタクトレンズをいれたまま〜。
決して上手いわけではない。あえて力を抜いて歌っているのかもしれないが、声のイメージが彼女のイメージそのままなのだ。
タレントパワーに頼ったCMは結構あるが、あそこまでシンプルに作り上げたものは少ないのではないかと思う。よくあるパターンだと、演技させたりシチュエーションに凝ってみたり、ディレクターやプランナーが何か余計なことをしたがるものだ。よほどコンセプトを理解しているか彼女の魅力をわかっているか、どちらかなのだろう。クライアントもよくぞ口を挟まずOKを出してくれた(拍手)。
絵コンテや企画書であのCMを通すのは、クライアントと広告代理店、そして制作プロダクションの全員が、広瀬すずの魅力を理解しているからだろう。もしかすると、実際に広瀬すずに歌わせた音源をプレに持ち込んだのかもしれない。それにしても、あまりにシンプル過ぎて驚いてしまった。これほどタレントパワーに頼りきった提案は、とてもローカルでは考えられない。
かなり思い切ったCMだが、彼女は、その期待に応えるだけの逸材だと、私も思っている。
迷走中?
ソフトバンクの桃太郎シリーズCMが、やっと終わったかと思ったら、今度は小日向さんを起用して宇宙船を爆破したり年貢米を徴収したりするプレゼント告知が始まった。無抵抗のロケットを爆破したり悪代官をさせたり、要は上戸彩の上役をおちょくっている訳だが、今まで笑って見られたCMが一気につまらなくなった。そう感じるのは私だけだろうか?
Apple Watch
パソコン➡スマホ➡タブレットの時代を経て、これからはウェラブルが主流になると言われて久しい。話題を呼んだGoogle Glassも一向に発売されないし、Apple Watchが売れていると言う話も聞かない。スポーツをしない自分には消費カロリーや脈拍数がカウントできると言う機能には全く興味がない。ウェラブルもやっぱりダメなのかなぁ、と思っていたのだが、先日、レスリングの世界大会代表に選ばれた選手が出ていたテレビ番組を観ていたとき、吉田沙保里の左手に、しっかりApple Watchが巻かれていた。何より凄いなと思ったのは、画面にちらりと映っただけでそれとわかる存在感だ。ロレックスだって、あそこまではっきりわからないと思う。
もしかして幕引き?
昨日、ソフトバンクのCMに勢いがなくなったと書いたが、あれから、森の中を猿や雉と鬼退治に出かけて行くバージョンを見て、「もしかしてこれが幕引なのか?」と思ってしまった。もちろん、白戸家のCM全てではなく、単に桃太郎シリーズだけが終わるのかもしれないが、ひょこひょこ二足歩行で歩いて行く猿や、その遅い歩みに合わせて羽ばたいている雉の姿が木陰の中に消えて行くシーンを見ると、ルイ・アームストロングのBGMと相まって、物悲しさを感じる。
ネタが尽きたか?
CM好感度調査で、ずっとトップを走っていたソフトバンクの白戸家を抜いて、auの英雄編が1位になったという記事を見た。桃太郎・金太郎・浦島太郎の3人の「昔話の英雄=au」として起用したらしいが、白戸家のCM同様、最初は「人気タレントを大勢起用する金にモノを言わせたCM」としてあまり好きではなかった。
ただ、シリーズが進んでかぐや姫や乙姫が登場するようになってから、「家族」とか「凄いの出たね」など、告知目的とうまく組み合わせたCMになっているなぁと感心することが増えてきて、今後の展開が楽しみになってきた。桃太郎とかぐや姫、浦島太郎と乙姫がカップルになったとしたら、金太郎はどうなるんだろう、お笑い芸人のキンタローしかないか?など、想像する楽しみもある。そう、昔の白戸家のように。
どう終わらせるか、どう盛り上げて行くか。夏のボーナス商戦を今のCMだけで戦って行く訳ではないだろうが、今後の展開から目が離せない。ただ、AKBとかワンダイレクション、渡辺謙などのビッグネームを使いながらパッとしないドコモのCMは、今の「トクダネ」シリーズを含めて、話題性という意味では完全に負けている。先日発表されたの決算状況を見ると、CMの好感度や話題性が、企業の勢いをそのまま表しているみたいで面白い。
個人的には、ペプシコーラの桃太郎シリーズCMの続きが放映されなくなったのが、一番残念だけど。